「40歳を超えてからセックスをすると痛みがある」
「昔は平気だったのに、濡れにくく挿入が苦痛に感じるようになった」更年期を迎えた女性の中には、このような悩みを抱えている方も少なくないかもしれません。
しかし、性交痛に関する悩みは人に相談しづらいことに加えて、パートナーに迷惑をかけたくないと我慢してしまう方も多いです。そこで今回は、更年期に起こる性交痛の原因や対処法について詳しく解説します。
目次
【女性の悩み】更年期の性交痛の症状
更年期に起こるセックス時の痛みは、主に膣内と外陰部の2箇所で起こります。更年期は膣内が乾燥しやすいため、性交痛の他に以下の症状がみられる場合が多いです。
- 掻痒感
- 圧迫感
- 不快な臭い
- 色のあるおりもの
膣内が乾燥しやすいことで「萎縮性膣炎」を発症する場合もあります。萎縮性膣炎とは、膣内の自浄作用が何らかの原因でうまく機能しなくなり、膣や外陰部に炎症が起こる症状です。
また、更年期にホルモンの分泌量が低下することで発症する「閉経関連泌尿器性器症候群（GSM）」は、中高年女性のおよそ半数が罹患していると言われています。GSMは、性交時の痛みの他に腟のゆるみや尿漏れなどの症状が見られます。
さらに、膣内が乾燥しやすいことが原因で感染症にかかりやすいため、膀胱炎を頻繁に引き起こす場合も。その他に、トリコモナス膣炎やバルトリン腺嚢腫などの感染症にもかかりやすいため、更年期に入ったらデリケートゾーンの衛生面に注意する必要があるでしょう。
更年期に性交痛が起こる4つの原因とは？
ここからは、更年期に性交痛が起こる原因についてわかりやすく解説します。自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
ホルモンバランスの変化による潤い不足、ゆるみに繋がる場合も
閉経すると卵巣の機能は徐々に低下し、女性ホルモンの分泌量も減少していきます。女性ホルモンの中でもエストロゲンには、膣の潤滑液としての働きがあるため、更年期には膣内が乾燥しやすいのです。
女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、膣のゆるみ・乾燥に加えて、膣壁が薄くなったり、弾力を失ったりと膣の萎縮に繋がります。膣萎縮が原因で膣内の潤い不足になり膣内が濡れにくく、男性器を挿入する際に痛くて入らないといった、性交痛を引き起こすようになります。
女性の年齢によるホルモンバランスの崩れは自然に起こる現象なので、体調と相談することが大切です。また、女性ホルモンは卵巣で作られるため、子宮がんや卵巣癌などで卵巣摘出手術を受けると更年期と同じような症状を発症しやすいです。
骨盤底筋の筋力・膣周囲の皮膚の弾力低下
更年期には膣の粘膜が減少し、クッションのようにふかふかだった膣内の弾力も少しずつ低下していきます。弾力が低下することで膣内は硬くなってしまい、性交時に痛みやかゆみ、出血などの症状を引き起こしてしまうのです。
また、膣内や尿道の働きを支えている「骨盤底筋」の筋力が低下することで、膣のゆるみにつながるケースも多いです。骨盤底筋はその他にも尿漏れや、頻繁な尿意などを引き起こします。
婦人科系の疾患
セックスの際に痛みを伴う場合、婦人科系の疾患である可能性も疑われます。性交痛の他に以下の症状がみられる場合が多いです。
- 日常生活でも膣内や外陰部に痛みがある
- 排尿や排便の際に痛みがある
- 生理痛が急に重くなった
- 強い痛みが長時間続く
- 性交痛の他に下腹部に痛みがある
上記のような症状が見られる場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの子宮の病気や、クラミジア感染症などの感染症、膀胱炎などを発症している可能性があります。少しでも心配な症状がある場合は、念のため病院で診察してもらうとよいでしょう。
心理的な要因（トラウマやストレス）
更年期は、気持ちが落ち込んだりイライラしてしまったりと、心のバランスを崩す方も多いです。そのような状態ではセックスにも積極的になれず、無理にすることで身体がこわばり、性交痛の原因となってしまう可能性があります。
また、若いころに経験したトラウマから性交痛を引き起こす可能性もあります。心理的な要因は軽視されやすいですが、不安なことがある場合はまずパートナーと共有するようにしましょう。
【原因別】更年期のセックスで痛いときの対処法5選
ここからは、先ほど説明した更年期に起こる性交痛の対処法について解説します。原因別に分けて詳しく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
ホルモン補充療法でエストロゲンを補充する
更年期に減少してしまうエストロゲンなどの女性ホルモンを、漢方などの飲み薬や張り薬、膣剤などで補う治療方法です。
女性ホルモンを補充することで腟乾燥や腟萎縮などの萎縮性膣炎やGSMの原因となる症状を改善できます。さらに、ホットフラッシュや疲労感などのさまざまな更年期症状にアプローチできるので、性交痛以外に更年期症状がみられる方におすすめです。
膣トレ・デリケートゾーンのケア
骨盤底筋の筋力低下が気になる場合は、膣内の血行改善や尿漏れ防止の効果がある膣トレがおすすめ。自宅で座りながら簡単にできるので、Youtubeなどを参考に試してみてください。
また、感染症や膀胱炎が原因の場合は、デリケートゾーンのケアを入念に行う必要があります。ただし、ボディソープなどの洗浄力が強いもので洗ったり、力強く洗ったりすると逆効果となる可能性も。
可能であればデリケートゾーン専用のソープを使用して、優しくなでるように洗いましょう。デリケートゾーンが清潔な状態になったら、デリケートゾーン専用のオイルやクリームを使用して保湿を行うことで、膣内の乾燥を防げます。
さらに、日常的に下着は締め付けの少ないものを選んだり、おりものシートをこまめに交換したりすることで清潔な状態を保てます。
レーザー療法
膣周囲の皮膚の弾力低下やGSMが性交痛の原因となっている場合は、レーザー療法がおすすめです。
レーザー療法では、膣内にレーザーを照射することで細胞を活性化し、弾力性が向上します。レーザーを使った治療はメスを使用しない手術なので、身体への負担が少ないです。膣壁に弾力が出ることで乾燥しにくい環境をつくることが目的の治療になります。
当院で行っている「インティマレーザー」は性交痛を改善する効果があります。
インティマレーザーに関する詳しい説明につきましてはこちらの記事をご確認ください。
気になる症状がある場合は婦人科を受診
性交痛以外にも下腹部の痛みや、排尿時痛などが見られる場合は婦人科系の疾患が疑われます。そのため、できる限り早く婦人科のある病院で一度診察を受けるようにしましょう。
婦人科疾患の中には初期症状がほとんどない疾患もあり、健康診断で指摘されて気づいたなんてケースも多いです。早期に発見することで重症化を防げるので、気になる症状がある場合は早急に受診してください。
パートナーに相談し理解を得ることも重要
性交痛の原因が精神的なストレスによるものであれば、まずはパートナーに相談し理解を得ることが重要です。また、婦人科のクリニックではカウンセラーによる心理療法を受けられます。
カウンセリングでは、夫婦の関係や家庭環境などの状況を確認しながら原因を探っていきます。気持ちをリラックスさせ、恐怖心が少なくなるように工夫してくれるので、一人で抱え込まずに一度相談してみましょう。
また、緊張や不安から濡れにくさを感じる場合は、潤滑ゼリーの使用もおすすめです。膣内の潤いを補うことで痛みを感じにくく、挿入しやすくなります。ドラッグストアでも簡単に手に入れられるので、ぜひ一度チェックしてみてください。
当院では性交痛を和らげるアイテムとして「リューブゼリー」をおすすめしています。
詳しい説明につきましては、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
本記事では、更年期に起こる性交痛の原因や対処法についてわかりやすく解説しました。
性交痛はデリケートな話なので、パートナーに相談できずに悩んでいる方が多いです。しかし、性交痛は多くの女性が経験すると言われており、めずらしいものではありません。
また、性交痛の原因には婦人科系の疾患が隠れている可能性もあるので、気になる症状がある場合はすぐに病院を受診しましょう。
当院では女性院長が自らカウンセリングから施術、さらにアフターケアまで一貫して行います。更年期の性交痛でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
記事監修者
美容婦人科の先進国であるアメリカ、ビバリーヒルズにおいてレーザーによる膣の引き締め手術やレーザーを用いた女性器形成のライセンスを日本人女医として初めて習得。日本人向けに改良すると共に、より専門的に女性特有のお悩みを解決するため美容婦人科専門クリニックを開業。
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